建設現場で土砂や資材を運ぶダンプ車は、建設現場において不可欠な存在です。しかし、過積載によって発生している事故は無視できません。運送会社や建設会社の経営者、現場責任者にとって、過積載の防止は法令遵守だけでなく、事業継続と安全確保の要となる課題です。
この記事では、ダンプの過積載の定義から見分け方、原因、罰則、そして防止策まで詳しく解説します。デジタル技術を活用した運行管理のメリットも紹介しますので、過積載対策の参考にしてください。
ダンプの過積載とは
過積載とは、車両ごとに定められた最大積載量を超えて貨物を積み、公道を走行する行為です。道路交通法違反にあたり、重大な事故を引き起こすリスクが高まります。最大積載量は、車両の構造や強度に基づいて定められています。
この数値を1kgでも超えれば過積載となり、違反の対象になります。土砂や砂利など比重の重い資材を運ぶダンプ車では、見た目以上の重量になりやすく、知らないうちに過積載になるケースも少なくありません。
過積載は単なる法令違反ではなく、車両の制御性能を著しく低下させます。制動距離が伸び、ハンドル操作が難しくなり、横転や追突のリスクが高まるのです。
ダンプの過積載が生じる原因
過積載が発生する背景には、業界特有の構造的な問題があります。
- 人材不足や労働時間の制約
- 過剰な利益重視やコスト削減の意識
以上の主な原因2つを見ていきましょう。
人材不足や労働時間の制約
建設業界では深刻な人手不足が続いています。2024年4月からは時間外労働の上限規制が建設業にも適用され、月45時間・年360時間という制限が設けられました。
参照:「建設業時間外労働の上限規則わかりやすい解説」厚生労働省
このような状況から、限られた人員と時間で工期を守るため、少ない台数で多くの資材を運ぼうとするプレッシャーが生まれます。配車台数を減らせばコストは抑えられますが、その分1台あたりの積載量が増え、過積載につながるのです。
労働時間の制約がある中で納期を守るには、業務効率化が必要です。しかし、適切な対策を取らないまま運搬回数を減らそうとすると、過積載という違法行為に頼ることになるのです。
過剰な利益重視やコスト削減の意識
荷主側が輸送コスト削減を目的に、少ない台数での運搬を求めることがあります。こうした要求が積み重なると、現場では過積載が常態化してしまいます。
運賃が適正に設定されていない場合、運送会社は配車コストを抑えるしかありません。本来なら2台で運ぶべき量を1台で運べば、燃料費や人件費は半分になります。
短期的には経営効率が上がるように見えるこのような状況が、過積載を生む大きな要因につながります。
ダンプの過積載の問題点
過積載がもたらす影響は、事故リスクだけにとどまりません。
- 重大な事故につながる恐れ
- 道路や橋梁への影響
- 罰則による経営への打撃
- 会社の信用の失墜
以上のように道路インフラや企業経営にまで及ぶ深刻な問題です。
重大な事故につながる恐れ
過積載状態では車両重量が増加することにより、ブレーキ性能が著しく低下します。通常時と同じ感覚でブレーキをかけても、制動距離が大幅に伸びるため、追突事故のリスクが高まるのです。
車両の重心が高くなることで、カーブで横転しやすくなってしまいす。過積載のダンプが横転すれば、積載物が散乱し、二次災害を引き起こす可能性もあります。固定が不十分な状態で過積載すれば、走行中に土砂や資材が落下し、後続車両を巻き込む事故につながります。
このようにダンプの過積載は重大な事故につながる恐れがあるのです。
道路や橋梁への影響
過積載車両が道路インフラに与えるダメージは想像以上に大きいものです。国土交通省によると全交通量のわずか0.3%にすぎない過積載の大型車両が、道路橋の劣化に与える影響の約9割を引き起こしているという試算もあります。
参照:「大型車両の通行適正化の 取組について」国土交通省
道路の劣化は荷重の4乗に比例して進むとされ、2倍の重量なら16倍のダメージを与える計算です。高度成長期に建設された道路インフラの老朽化が進む中、過積載による負担は深刻な問題となります。
橋梁の維持修繕には莫大な費用がかかり、その財源は税金です。過積載による劣化の加速は、社会全体にコストを転嫁していることになります。
罰則による経営への打撃
過積載が発覚すれば、ドライバーだけでなく運送会社や荷主にも罰則が科せられます。後ほど詳しく解説しますが違反の程度によっては、運転者に免許停止や6か月以下の懲役、10万円以下の罰金が課されることもあります。
運送事業者には車両の使用停止処分や事業停止処分が下され、経営に深刻な影響を及ぼします。場合によっては運行管理者資格の取り消しもあり、事業継続が困難になる可能性もあるのです。
参照:https://laws.e-gov.go.jp/law/335CO0000000270#Mpat_2
会社の信用の失墜
過積載違反が公になれば、企業の社会的信用は大きく損なわれるでしょう。取引先からの信頼を失い、新規契約の獲得が困難になる可能性もあります。
企業イメージの回復には長い時間とコストがかかります。過積載による一時的な効率化が、長期的には経営を揺るがす事態を招くのです。
また、荷主も道路交通法により罰せられます。運送業者に比べると厳しくない罰則ですが、過積載違反によって企業としての信用を失墜させる危険性があることを理解しましょう。
ダンプの最大積載量と罰則の目安
過積載を防ぐには、車両ごとの最大積載量を正確に把握することが第一歩です。車検証に明確に記載されているので、必ず確認しましょう。
ダンプの最大積載量の目安
ダンプの最大積載量は車両の大きさによって異なります。最大積載量および車両総重量の一般的な目安は以下の通りです。
| ダンプの種類 | 小型 | 中型 | 大型 |
|---|---|---|---|
| 最大積載量 | 3.0トン未満 | 6.5トン未満 | 6.5トン以上 |
| 車両総重量 | 5.0トン未満 | 11.0トン未満 | 11.0トン以上 |
参照:https://www.kasekisai.com/overload/007
上記の表はあくまでも目安であり、実際の最大積載量は車両ごとに異なるため、正確な最大積載量については、以下のように車検証の記載内容を必ず確認してください。

積載物の比重も考慮が必要です。乾燥した砂の比重は約1.5、湿った土は約1.8、砕石は約1.6程度です。荷台の容積から計算した際、比重によって重量が大きく変わることを理解しておきましょう。
罰則の内容と対象者
過積載の罰則は、最大積載量に対する超過割合によって厳しさが変わります。違反者は運転者だけでなく、事業者や荷主も含まれる点に注意が必要です。
まず運転者には、違反点数の減点と反則金が科せられます。即時告発の対象となり、最大で100万円以下の罰金が科されることもあります。
| 超過割合 | 違反点数 | 反則金(大型車) | 刑事罰 |
|---|---|---|---|
| 5割未満 | 2点 | 3万円 | – |
| 5割以上10割未満 | 3点 | 4万円 | – |
| 10割以上 | 6点(免許停止) | – | 6か月以下の懲役または10万円以下の罰金 |
参照:https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/menkyo/torishimari/tetsuzuki/hansoku.html
https://laws.e-gov.go.jp/law/335CO0000000270/20240401_506CO0000000043#Mpat_2
運転者に過積載を指示・容認した運送会社にも重い処分が待っています。車両の使用停止処分が下され、場合によっては事業停止処分や運行管理者資格者証の返納命令もあります。
さらに、過積載と知りながら運送を依頼した荷主にも責任が及びます。再発防止命令が勧告され、命令に従わず再度過積載を要求した場合は6か月以下の懲役または10万円以下の罰金が科せられます。
参照:https://jta.or.jp/wp-content/themes/jta_theme/pdf/anzen/08.pdf
https://laws.e-gov.go.jp/law/401AC0000000083#Mp-Ch_2-At_33
ダンプの過積載の見分け方
過積載を未然に防ぐには、積載前後の確認が重要です。
- 積載物を目視で確認する
- サスペンションやタイヤを目視で確認する
- 自重計や車両スケールを使う
- 制動距離を確認する
これらを行い、積載量が適切かどうか判断しましょう。
積載物を目視で確認する
最も基本的な確認方法は、荷台の積載状況を目視でチェックすることです。土砂や砕石、アスファルト合材などの建設資材は、ならした状態で平ボディーのかさ高(荷台の縁)までなら、過積載になっていない可能性が高いと考えられます。
ただし、積載物の比重によって重量は大きく変わります。同じ体積でも、湿った土は乾いた砂よりはるかに重くなるため、天候や資材の状態も考慮が必要です。
荷台から大きく盛り上がっている状態は、明らかな過積載の兆候です。見た目で判断できる基準を現場で共有しておくことが大切です。
サスペンションやタイヤを目視で確認する
過積載状態では車両の車高が下がり、サスペンションが通常より沈み込みます。リアサスペンションの沈み具合を確認することで、過積載の可能性を判断できます。
タイヤの横方向の膨らみ(たわみ具合)も重要な確認内容です。過積載によって荷重が増えると、タイヤが潰れたように見えます。定常状態のタイヤの形状を覚えておき、比較することで過積載か確認できるでしょう。
車両の挙動も見逃せません。発進時の加速が鈍かったり、ブレーキの効きが悪かったりする場合は、過積載の可能性を疑いましょう。
自重計や車両スケールを使う
ダンプ規制法(土砂等を運搬する大型自動車による交通事故の防止等に関する特別措置法)により、最大積載量5t以上または車両総重量8t以上のダンプには、自重計の設置が義務付けられています。
参照:https://laws.e-gov.go.jp/law/342AC1000000131#Mp-At_6
自重計は荷台下部に設置され、積載重量を自動的に計量します。荷台を5cm程度上げた状態でコックを開き、針が静止したところで目盛りを読み取ります。

引用元:「過積載防止【自重計】の使用方法についてわかりやすく解説します」建設ナビ
測定後は必ずコックを閉めて、走行中の故障を防ぎましょう。
より正確な測定が必要な場合は、トラックスケール(地上設置型の大型計量器)を使用します。完全に静止した状態で計測するため、高精度な数値が得られます。
測定結果は日時と車両番号とともに写真で記録し、管理を徹底することで、過積載防止の意識が高まるでしょう。
車両情報とGPSを紐づけたリアルタイム管理にはカタルがおすすめです。カタルではクラウドを活用した車両管理で、面倒な記録の作業時間を削減しながら、位置情報を活用した車両管理で効率よく車両を運用することができます。
制動距離を確認する
過積載状態では制動距離が大幅に伸びるため、ブレーキの効き具合も判断材料になります。普段と同じ感覚でブレーキをかけても停止までの距離が長い場合、過積載の可能性があります。
| 時速 | 空走距離 | 制動距離 | 停止距離(空走距離+制動距離) |
|---|---|---|---|
| 100km | 28m | 84m | 112m |
| 90km | 25m | 68m | 93m |
| 80km | 22m | 54m | 76m |
| 70km | 19m | 39m | 58m |
| 60km | 17m | 27m | 44m |
| 50km | 14m | 18m | 32m |
| 40km | 11m | 11m | 22m |
| 30km | 8m | 6m | 14m |
| 20km | 6m | 3m | 9m |
以上の表のように制動距離が大幅に変わってしまうため、過積載状態にならないよう十分注意しましょう。
ダンプの過積載を防ぐには運行管理のデジタル化がおすすめ
過積載を防止するには、現場の意識改革だけでなく、システムによる管理体制の構築が効果的です。デジタル化のメリットとして以下のようなものが挙げられます。
- 当社独自のIoT重量計と連携した過積載の未然防止
- リアルタイム動態管理による配車計画の最適化
- 入退場や走行履歴の自動記録と事務作業の効率化
- 現場や運転手、交通誘導員など関係者間の情報共有の円滑化
- 適正積載による安全管理の徹底と効率化の向上
限られた人材や車両に対し、手間や時間がかかってしまう手作業ではなく、デジタル管理を行うことで効率的な運行を実現できるでしょう。
当社独自のIoT重量計と連携した過積載の未然防止
最新の運行管理システムでは、車載重量計のデータをリアルタイムで取得し、過積載の可能性をすぐに検知できます。積載時に自動でアラートが出る仕組みなら、出発前に是正が可能です。
重量データは自動的に記録されるため、手作業での記録漏れや改ざんのリスクもありません。測定結果はクラウドに保存され、監督官庁や発注者への報告資料としても活用できます。
過積載のデータが蓄積されることで、どの現場や時間帯に違反リスクが高いかを分析し、予防的な対策を講じることも可能です。
リアルタイム動態管理による配車計画の最適化
車両の位置情報と作業状況をリアルタイムで把握できれば、配車計画を柔軟に調整できます。各車両の稼働状況が可視化されることで、無理な積載をしなくても効率的な運行が実現します。
急な予定変更にも対応しやすくなり、限られた台数で工期を守れるようになります。適切な配車によって過積載に頼らない運行体制を構築できるでしょう。
現場とオフィス間の連絡もスムーズになり、指示の伝達ミスや重複した配車も防げます。
入退場や走行履歴の自動記録と事務作業の効率化
GPSと連携した運行管理システムなら、入退場や走行履歴が自動的に記録されます。2024年問題で導入された時間外労働の上限規制にも、正確なデータで調整できるでしょう。
手作業での日報作成や集計作業が不要になり、事務負担が大幅に軽減されます。浮いた時間を安全管理や配車計画の改善に充てられるため、過積載防止にもつながるのです。
労働時間の可視化によって、無理な運行計画を組むこともなくなります。
現場や運転手、交通誘導員など関係者間の情報共有の円滑化
クラウドベースのシステムなら、現場の状況を事業者がリアルタイムで把握できます。積載状況や配車の進捗が一目でわかるため、適切な指示を出しやすくなります。
発注者や元請け企業との情報共有もスムーズです。過積載防止の取り組みを可視化することで、コンプライアンス遵守の姿勢を示せます。
測定データも簡単に共有できるため、報告書作成の手間も削減できます。
適正積載による安全管理の徹底と効率化の向上
運行管理の最適化によって、燃料費の削減効果も期待できます。無駄な待機時間や空車での移動が減り、効率的な運行が実現します。
車両の稼働率が向上すれば、台数を増やさなくても売上を伸ばせます。過積載に頼らず、適正な積載での収益確保が可能になるのです。
データに基づく経営判断ができるようになり、長期的な事業の安定性も高まります。
ダンプに特化した運行管理システム『カタル』とは

過積載防止を含めた総合的な運行管理には、ダンプ事業に特化したシステムが効果的です。カタルは、建設・土木業界の現場ニーズに応えた運行管理ソリューションです。
カタルの特徴は、位置情報や積載重量の管理・活用ができる点です。車両台帳とGPSを紐づけたリアルタイム管理や現場に応じた警告などによって、現場の効率化と安全性を支えます。
加えて、車両情報と積載重量データをクラウドで集約することで、作業時間の大幅削減に貢献します。「車検証」「自賠責」「免許証」「任意保険」の「4点セット」をデータ化して利活用しやすくする点も大きな特徴です。
これらの機能によって過積載をすることなく、車両に応じた効率的な運用を実現できるため、元請企業の信頼性の向上につなげられます。

過積載防止だけでなく、生産性の向上、作業時間の削減、粗利率の改善を同時に実現できます。まずはお気軽にお問い合わせください。
まとめ
ダンプの過積載は、重大事故や道路インフラの劣化を引き起こす深刻な違法行為です。人手不足や過当競争といった業界特有の課題が一因ではありますが、徹底した管理体制や確認で、確実に過積載を防ぎましょう。
違反すればドライバー、事業者、荷主それぞれに重い罰則が科され、企業の信用失墜にもつながります。一時的な効率化のために長期的な経営リスクを負うことは、決して賢明な判断ではありません。
カタルのようなダンプ特化型の運行管理システムなら、過積載防止と業務効率化を同時に達成できます。法令遵守と収益確保を両立させ、持続可能な事業運営を目指しましょう。













