「ドローン測量」は、多くのサービスがある中で、どの業者を選べば良いか悩んでいませんか? この記事では、業者を見極めるためのポイントを解説します。
目次
1. 建設業で「ドローン測量」が注目されるのか?
ドローン測量の定義と従来の測量との違い
「ドローン測量」とは、ドローンに搭載したカメラやレーザースキャナーを用いて、上空から地形や構造物を撮影・計測し、高精度な3次元データを取得する技術です。従来の測量方法では、測量士が現場に立ち入り、測量機器を設置して一つ一つ計測する必要がありました。これには多くの時間と労力がかかり、危険な場所での作業も伴いました。しかし、ドローン測量では、安全な場所から遠隔で作業ができ、広範囲の測量を短時間で完了できます。
測量作業の大幅な効率化と人手不足への対応
ドローン測量の導入は、測量作業の効率を飛躍的に高めます。例えば、広大な造成地の測量も、ドローンであれば数十分で完了できます。従来の測量にかかっていた時間を大幅に短縮でき、人件費の削減に繋がります。
3次元データ取得によるICT施工・BIM/CIMへの活用
最大の特長は、高精度な3次元データを取得できることです。測量で得た3次元データをICT建機に読み込ませて自動で施工を行ったり、BIM/CIMモデルの作成に利用したりできます。設計から施工、検査までの一連の流れをデジタル化し、全体の生産性を向上させることが可能になります。

2. 失敗しないための「ドローン測量サービス」選びの5つのポイント
ドローン測量サービスは、業者によって提供される内容が異なります。自社の目的や予算に合ったサービスを選ぶために、以下の5つのポイントを参考にしてみてください。
求める「精度」と提供されるサービスの合致度
データの精度は、測量方法や使用する機器によって異なります。例えば、i-Constructionで求められる精度は、基準点測量で±5cm以内、出来形管理で±2cm以内といった厳格なものです。サービスを選ぶ際は、自社が求める精度レベルと、業者が提供できる精度が合致しているかを確認しましょう。
導入の目的に見合った「費用」体系の比較
業者によって、定額制、従量制、スポット契約など、様々な料金体系があります。自社のプロジェクト規模や頻度を考慮し、最も費用対効果が高い料金体系を選ぶことが重要です。初期費用だけでなく、データ処理や解析にかかる費用、導入後のサポート費用も含めて、トータルコストで比較検討しましょう。
「操作性」とサポート体制の充実度
自社でドローンを操縦して測量を行う場合、ドローンの操作性や、専用ソフトウェアの使いやすさが重要になります。何か問題が発生した際に、迅速に対応してくれるサポート体制が整っているかどうかも、サービス選定の重要なポイントです。
取得データの「納品形式」と既存システムとの連携
取得したデータは、点群データ、オルソ画像、3次元モデルなどの形式で納品されます。自社がすでに利用しているICT施工のシステムや、BIM/CIMソフトウェアとスムーズに連携できる形式であるかを確認してみましょう。
3. サービスを比較する際の「精度」の見極め方
RTK/PPK方式の有無とGPSの測位精度
高精度な測量を求める場合、「RTK(リアルタイムキネマティック)」や「PPK(後処理キネマティック)」という測位方式に対応しているかを確認しましょう。GPSの測位情報に加えて、地上の基準局の情報を利用することで、測位誤差を数cmレベルにまで補正できます。RTK/PPKに対応しているかどうかは、その業者が高精度な測量技術を持っているかどうかの重要な判断基準となります。
測量方法(写真測量・レーザー測量)の違い
ドローン測量には、主に写真測量とレーザー測量の2つの方法があります。写真測量は、ドローンに搭載したカメラで多数の画像を撮影し、コンピュータで3次元データを生成する方法です。費用を抑えやすいというメリットがありますが、植生が密な場所では地面の計測が困難な場合があります。一方、レーザー測量は、ドローンに搭載したLiDAR(ライダー)でレーザーを照射し、直接地形データを取得するため、植生の影響を受けにくく、より高精度な測量が必要な場合に適しています。
標定点設置の有無と作業工数
ドローン測量では、測量の基準となる「標定点」を事前に地上に設置することが一般的です。RTK/PPK方式に対応したドローン測量では、標定点の設置数を大幅に減らせるか、あるいは全く不要になる場合もあります。業者を選ぶ際は、標定点の設置が必要かどうか、必要な場合どのくらいの工数がかかるかを確認しましょう。標定点の設置が不要なサービスは、現場作業の負担をさらに軽減できます。

4. 導入コストと費用対効果を見極める「費用」の考え方
ドローン測量には様々な費用がかかります。導入コストだけでなく、導入後の運用コストも含めて費用対効果をしっかりと見極めることが重要です。
測量機材の購入か、サービス委託かの判断基準
ドローン測量を始めるには、測量機材を自社で購入するか、専門業者に測量業務を委託するかの2つの選択肢があります。測量業務の頻度が高い場合や、自社でノウハウを蓄積したい場合は機材購入が適していますが、初期費用が高くなります。一方、スポットでの利用が中心の場合は、専門業者に委託する方が費用対効果が高くなります。自社の事業規模や測量業務の頻度に応じて、どちらが適切かを判断しましょう。
料金体系(定額制、従量制、スポット)の比較
業者によって、料金体系は様々です。月額や年額で利用できる定額制、測量面積やデータ量に応じて料金が発生する従量制、単発の測量業務を依頼するスポット契約などがあります。毎月決まった数の測量業務がある場合は定額制が有利ですが、不定期な依頼が中心の場合は従量制やスポット契約が適しています。自社の業務フローに合わせた料金体系を選ぶことが、無駄なコストを抑える鍵となります。
導入後の維持管理コストと補助金・助成金の活用
ドローン測量機材を自社で購入した場合、機材のメンテナンス費用や保険料、ソフトウェアのライセンス費用など、導入後にも維持管理コストがかかります。これらのランニングコストも考慮して、トータルで費用を比較検討しましょう。また、ドローン測量機の導入には、国や地方自治体が提供する「IT導入補助金」や「ものづくり補助金」といった補助金・助成金が活用できる場合があります。これらの制度を上手に利用することで、初期投資の負担を大幅に軽減できます。
まとめ:ドローン測量サービスは目的と費用を明確に見極める
建設DXを推進する上で、ドローン測量はDX技術の基盤となります。多くのサービスがある中で、失敗しないためには、自社が求める「精度」や「費用」、そして「操作性」といったポイントを明確に見極めることが重要です。RTK/PPK方式の有無や、写真測量とレーザー測量の違いを理解し、自社の目的に合ったサービスを選びましょう。